このカスタム、約12年前に製作しました…
とても、そんな風に見えませんよね。。。色褪せても無く、古めかしくも無く。製作は、私がBAD LANDを始めて、丁度2〜3年が経った頃でしょうか…. その頃ともなりますと、既に何度もドイツを訪れておりまして、ドイツやヨーロッパのカスタムシーンをリードするビルダーやエンジニア達とも随分と顔見知りとなっておりました。その中で、彼、AS Industries(エーエス・インダストリーズ)の主宰 : ステファン・アルガイヤーとの出会いは今でも忘れる事が出来ません。
ヨーロッパのカスタムシーンを牽引していたのは、間違いなくドイツなのですが、そのドイツ・カスタムシーンの中には3人の重鎮がおります。一人が、かのトーマス・ハバーマン / Harbermann Performance。もう一人が、ドイツ・カスタムシーンの中でも老舗中の老舗 : SS Cycle を率いるステファン・シュナイダーバンガー。そして、もう一人が本日の主人公であります AS Industries のステファン・アルガイヤーでありまして… この3巨匠は、知識も技術も、またセンスも半端では無く、また強靭なガッツも持ち合わせており、ハーレーのカスタムを志す者に取っては、まさに神の様な存在です。総じて、皆、神々しく、且つ、とても優しい心を持った男達。。。
この3巨匠は『私に、そこまで教えてしまって、良いのですか???』と、聞きたくなる位、本当に色々なテクニックやノウハウを、惜しげも無く教えてくれました。そしてまた彼らは異口同音、『全部日本にもって帰れ!!』と、そう云います。だから、私も、当時は、ヨーロッパ製のパーツを販売させて頂くと共に、可能な限り彼から学んだ事を、そのヨーロッパ製パーツと共に、志のある国内の同業の方々へお伝えをさせて頂いたりもしておりました。こうして今、あの頃の事を振り返ってみますと、ドイツのカスタムシーンは、本当に輝いておりました。。。
AS Industries : ステファン・アルガイヤーの拘りは、とんでも無く、凄かった。。。
AS Industries はドイツの南部の都市 : ミュンヘンにありまして、彼の工房へは一度だけお邪魔をさせて頂いた事があります。AS Industries とは、自動車関係のエンジニアや金属造形における一流の職人、また設計やCADに精通したオペレーター等々、その道のマイスター達の集合体でありまして、、、ドイツのマイスターと云う制度は、所謂国家資格でありまして、それも、どの分野にも関わらず、相当の時間を掛け修行を重ねた人間でなければ取得する事の出来ない非常に厳しく、レベルの高い資格なんです。。。ですので、AS Industries の製品は、例えばアクスル・シャフトのステンレス製カラーの一つを取っても、もの凄いレベルでフニッシュをしておりまして、それは見れば単なる金属に穴の空いた管の様なモノなのですが、それでも、その佇まいからは重厚なオーラを存分に感じ取れる程… また、そんな訳で、AS Industries の製品は一事が万事、そんな具合で創られておりますから、金額はかなり高目。。。しかし、ステファンはキッパリとこう云います。『極端な話、売れなくってもいいんだ。オレのプロダクトは、その価値を理解してくれるユーザーにだけ使って欲しい』と… 地元ミュンヘンの名物ビールと白いソーセージの載ったテーブルを挟んで、そんな鉄の心を持ったドイツ人の言葉をまともに聞いてしまったあの日の事は、今でも本当に忘れる事が出来ません。
本日、ご紹介をさせて頂きますカスタムは、そんなステファン・アルガイヤーにベースとなる車両のモデルと年式だけを伝え、全てのパーツのプロデュースを依頼した一台であります。組み付けは弊社で行いましたが、結果、全てのパーツが、文字通りのイージーボルトオン状態でありまして。。。ご覧の通りのかなりの規模のフルカスタムであったにも関わらす、拍子抜けする程、楽な作業工程であった事を今でもよく覚えております。
PVM製 : 17インチの前後ホィールのセットアップと云い、絶妙な位置でマウントされたPARKER製アルミタンクと云い、またFRP製品かと見間違う程、完璧な板金作業が施されたリアフェンダーと云い、とにかく12年も前に造ったカスタムだとは、とても思えないこのフォルム… AS Industries : ステファン・アルガイヤーの拘りの凄さや、モノ造りにおいて造り手側は何故拘らなければならないのか、、、ファインダーを覗きながら、その理由を知った様な気がしました。
そんな同車両。只今、委託販売ご希望の為、弊社にてお預かりを致しております。詳細は、以下リンクよりご覧頂けます!!