新型ゲレンデのマフラーを艶有り黒にすべし!!
弊社お馴染みのお客様よりご依頼を頂きまして… ご覧のマフラーはメルセデス・ベンツの新型ゲレンデ用にリリースされております純正オプションのマフラーでありますが、このマフラー先端部分を弊社取扱のエキゾースト用特殊塗料 : BL Exhaust Coatで塗装をして、現状のメッキ仕様の状態から艶のある黒仕上げにして欲しいと言うのが頂いたご依頼の内容であります。
BL Exhaust Coatの施工は塗装後150℃で30分間の焼き付け加工が必要となりますので、弊社ではいつも専門の加工業者さんにお願いをしております。また塗料全般の話になりますがメッキの上には直接塗装を行う事が出来ませんので、今回の場合まずはメッキを剥ぐ作業からのスタートになる訳でありますが、その作業も含めて加工業者さんにお願いをさせて頂きました。メッキを剥ぐ為にはサンドブラストと言う作業を行います。これは圧縮したエアーを用いて細かな砂 (硅砂や金属粒) をメッキの面に吹き付けメッキの塗膜層を根こそぎ剥いでしまう施工方法なのですが、ここで加工業者さんより “施工不可 = 作業STOP!!” の連絡が入りました。
何故かと言いますと… かなりの量のサンドブラスト用の砂がマフラーの内部にあります触媒にまで到達してしまう、またマフラーに装着されている可変バルブを稼働させる部分にも入り込んでしまう等々、と言う事が理由でありまして、初めから良く考えれば分かった事なのではありますが、確かにそう言われてみますといくら厳重にマスキングを行なっても砂が入り込んでしまう事を防ぐ事は無理であろうと言う結論に至ります。
何分、今回のご依頼の主は弊社のお馴染み様。。。『これこれ、こう言う訳で、マフラーの先っぽ。黒くする事が出来ませんでした…』などと言う言い訳を受け入れてくれる様な御仁では無い事は重々承知。ですので、我々、昨晩の遅くに腹を括った次第です。手作業でメッキを剥がしますか… この作業、全く不可能ではありません。ただ、泣きたくなる位にハードな仕事でありまして何よりも精神的にかなりヤラレます。一度そのトンネルに入りますと出口に灯りを見出す迄には相当の時間が必要となる訳でありまして… しかも今回は写真にあります通りメッキが掛けられたマフラーの先っぽは合計4本。果たしてお盆迄に終了させる事が果たして出来るか、などと弱気の言葉を深い溜息と共に。。。
驚異的なステンレス・ポリッシュ仕上げ!!
そんな訳でダブルアクションと呼ばれる表面処理専用のエアーツールに120番の紙ヤスリを装着し、早速メッキを剥がす作業に着手を致しました。銀色のメッキ表層を剥がし終わると、通常今度は銅メッキの層が現れて来ます。この銅の層まで完全に剥がし切らないといけない訳でありますが、昨晩の場合、幾らダブルアクションで攻め込んでも一向に銅の色が出現を致しません。『何んだかおかしいなぁ〜〜〜』などと思いつつ、このあたりで『もしや!』との疑念が頭をもたげて来る訳でありまして… 試しに磁石を手に取り施行中のマフラーの先っぽに付けてみますると… これが、、、磁石が付かない!!!
そうなんです。磁石が付かないと言う事になりますと、今手にしている金属のパーツは実はステンレス素材にて造られている予想が立つ訳でありまして、そしてまたダブルアクションで幾ら削っても一向に銅面が出現をしてこない理由として、そこには実はメッキは施工されていない事に気付いた次第であります。
日々、金属と格闘を繰り広げております我々でありますので、金属の素材やましてや表面処理に関してはプロであると申し上げても決して過言ではありません。しかし、このメルセデスのマフラーを見た時、私を含めスタッフの全員がクロームメッキにより処理されている事を疑う者は一人もおりませんでした。ましては外注先の加工業者のご担当も然り。多くのプロ達の目がそこにあっても見間違ってしまった程、それ程迄に、このメルセデスのステンレス製のポリッシュ仕上げのマフラーは分厚いメッキが施されている様に美しく見えた次第でありまして…
しかし、ステンレスの表面をメッキが掛かった状態と同じに位に磨き上げるなんて、これはただ事ではありません。本当にそのマフラーの表面には細かな磨き傷一つさえも存在していない訳でありますから… 技術力と言いましょうか、メーカーの本質的な拘りとでも言いましょうか、とにもかくにも昨晩はこのマフラーを通じまして、改めてドイツ人の物造りに対する姿勢を目の当たりにした次第であります。こんな所のこんなパーツでさえ、こんなクオリティーで造られているとは!! やはり… メルセデス・ベンツは凄かった!!!
BL Exhaust Coat
BL Exhaust Coatとは高温に熱せられるエキゾーストであっても、艶感を持たせる事の出来る特殊塗料でありまして、この様な塗料の存在はまさに唯一無二。決して大袈裟な言い方では無くエキゾーストに艶を持たせる事が可能な塗料は、世界広しと言えども現状ではBL Exhaust Coat以外には無いと思います。