ハーレーに捧げた熱量
この夏、お盆を過ぎた頃であったと記憶を致しておりますが、近隣にお住まいの方よりサイドカーの修理をご依頼頂きました。何でも、今までお付き合いをされていたSHOPさんが急遽お店を移転される事となり、その時点では移転先も決まっておられないとの事。頂いたお電話では、川崎や横浜のハーレー屋数件に問い合わせをしたとの事でありましたが、あるSHOPの方より弊社を紹介されたとの事でありまして… そんな訳で早速車両をお持ち込み頂いたのですが、間近で見るサイドカーはやたら大きく、確かにお店や工場の中に入れるには中々困難なサイズであります。弊社の場合、間口が広いのでその点は問題無かったのですが、しかし、それにしてもデカイ。
オーナー様は御歳70歳代の強者。何でも地元ハーレー会の会長さんとの事でありまして、とても温厚で優しい感じの御仁。まさにハーレー乗りの大先輩です。車両にはS&S 124キュービック・サイズ (約2,000cc) のエンジンが積まれており、またご本人でなければ到底手を付ける事が出来ない複雑怪奇な配線が車体全体に縦横無尽に駆け巡り等々、とにかく独創的なサイドカーでありました。年季の入ったボディー各所を見ればオーナー様の愛着ぶりは直ぐに伝わって来る訳でありまして、長きに渡りハーレーに捧げたオーナー様の熱量に感動を覚えた程であります。
スィングアームが折れていた…
プライマリーからのオイル漏れが酷い為の修理依頼でありまして、当初はミッションのメインシールが痛んでいるのだろうと予測でありましたが、車体下に潜り込み各部をよくよくチェックしてみますと、何と、スィングアーム左側のアクスルシャフトが通る付近の角パイプが折れており、後10mm程で完全に切断される状態でありました。オイル漏れの原因はまさにここでありまして、リアホィールがブレブレに動きドライブベルト通じてミッションのメインシャフトに大いに負担が掛かっていた訳です。スィングアーム右側の同じ部分にもクラックが入っておりまして、そんな訳でアクスルシャフトを通す部分のブロックを丸ごと造り変える事と致しました。勿論、強化タイプ仕様にて。
現在通常業務が非常に混雑をしており、中々修理の作業に着手する事が出来ませんでしたが、先程試乗を終えまして近々のお引き取りとなりました。人は誰でも歳を取る訳ですから、そうであるならば、こちらのオーナー様の様に70歳になっても元気にハーレーに乗っていたい、と、そう強く思った次第。ハーレーを通じ、今回も良き経験を積ませて頂きました。